外耳道狭小化による膿瘍自潰症例に対する外耳道洗浄と鼓膜切開及び中耳洗浄

2015.05.18

神戸から来院されているミックス犬です。

外耳道入口に腫瘤状の増殖物が複数みられ、著しい外耳道の狭小化がみとめられました。(動画①)

増殖物は、病理学的には「化膿性外耳炎」によるもので、腫瘍性変化はみられていません。

耳垢からは、多剤耐性緑膿菌、比較的感受性のあるS.intermedius,  Corynebacterium spp が検出されています。

飼い主様の意向としては、全耳道摘出手術は避けたいとのこと、そのため姑息的ですが、外耳道の膿を時々洗浄することで、内耳や髄膜への波及を遅らせてあげたいと考えています。ところが、先日耳介後方で自潰があったそうです。ある意味、膿瘍が体表外に自潰してくれたことは、内耳や髄膜に至らなかっただけ、幸いであったと思われます。

神戸市内の動物病院で、自潰部とその周辺を適切に処置していただきました。

再び来院された今回、これまで同様外耳道の洗浄(動画②)を実施しただけでなく、鼓膜切開(動画③)により、中耳も洗浄しています。(動画④)

この症例では多剤耐性緑膿菌がはびこっている以上、こうした外耳道洗浄や中耳洗浄で、細菌の絶対数を減らし、できるだけ深刻な事態に至ることを遅らせたいと考えています。

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