耳の中の大きな腫瘍 のびちゃん オス 14才

2019.03.04

Q1.耳科専門クリニックで診察を受ける前は、どのような状況でしたか?

耳の中に大きい腫瘍があり、切開手術しか方法がないと診断されていました。
高齢なので手術をする際の麻酔と切る手術への恐さで踏み切れませんでした。
自宅近くの主治医の先生に相談したところ、主の枝を紹介していただきました。

最初の状態は、耳の中が見えないくらいの大きな腫瘍ができていて、右耳が塞がれていました。
ドロドロのヘドロがずっと収まらず、痛みをずっと抱えた状態で、ふさぎ込むようにしていました。

Q2. 実際に耳科専門クリニックで治療をお受けになってからはいかがでしたか?

とても丁寧に耳と全身の診察をして頂き、ワイヤーを使った内視鏡手術を選んで頂きました。
患部を切らずに手術をしていただいたので、術後の回復も順調に早く元気になりました。一番気がかりな麻酔も、とても慎重にしていただいたのでとても安心でした。
一番驚いたのは、正常だと思っていた反対側の耳の中にも異物が入っていて、1回目の洗浄検査をしていただいた時に取ってもらって、その日から顔の表情がずいぶん良くなり、見つけて頂いて本当に感謝しております。

Dr.からのコメント

飼い主さんのご近所でも有名なエアデール・テリアの「のびちゃん」。
なるほど、人懐っこい性格となぎげない仕草がとてもひょうきんですから、人気者であることもうなずけます。でも、そんな「のびちゃん」も、去年の5月から耳を痛がって、辛そうにしていました。

「のびちゃん」の年令は、なんと14才。エアデールにしてみたら、平均寿命を数年も超えています。
毎日辛そうにしている「のびちゃん」に、飼い主さんはどうしてあげたら良いのか、迷っておられました。そんな飼い主さんに当院を紹介くださったのは、勉強熱心で優しい主治医の先生でした。

当院では、慎重に事前に検査したデータを参考に麻酔をかけ、内視鏡で「のびちゃん」の耳の中を観察しました。
もちろん、耳の中の病態を把握するため、細胞診やバイオフィルム下での培養検査、感受性検査なども調べます。
既にはびこっていた緑膿菌やブドウ球菌に対する治療も計画的に進め、ポリペクトミーという耳道内手術を実施しました。
先日は、術後の確認のためお連れくださいましたが、経過は良く、のびちゃんの表情は明らかに穏やかになりました。そればかりか元気さもみられるようになり、飼い主さんにも喜んでいただいています。

さて、みなさんなら、高齢な愛犬、愛猫が耳の痛みを訴えていたらどうされますか?
もちろん、ケースバイケースでしょう。しかしながら、麻酔技術の向上とより負担の少ない耳道内手術は、これまでの誰もがしかたなく選んでいた、最期を迎えるまで毎日の耳の痛み、憂鬱感を我慢させることよりも、「選んであげられる選択肢」になっていることを、この機会にご承知下さい。

 

・耳道内手術

・ポリペクトミー

・エアデール・テリア

・耳の痛み

ページトップ