「全耳道切除手術」を回避できた耳と手術が必要だった耳 ココアちゃん メス 11才

2019.03.18

  

Q1.耳科専門クリニックで診察を受ける前は、どのような状況でしたか?

綿棒につく汚れが茶色い液体がつく
本来は常に食欲ある犬だったのに、ごはんを欲しがらない日がでてきた、しんどそうな時がある。
かかりつけ医で週1、耳そうじと家で点耳液を使ってそうじをする。
これは手術になるかもしれないから、耳専門のところに行った方がいいかもしれないと言われているうちに、綿棒に膿がつくようになりこちらのクリニックの予約をとりました。

Q2. 実際に耳科専門クリニックで治療をお受けになってからはいかがでしたか?

耳の状態を内視鏡ですべて説明して下さり、よくわかった。設備にびっくりしました。
片耳は洗浄してもらい、良くなりました。もう一方は洗浄に数回通いましたが、膿はなくなったものの、内視鏡で見る中の状態が悪く、手術しかないと聞き、高齢のためできれば手術はさけたいと考えていましたが、これまでの経過をくわしくきいていたのでまちがいないと手術していただきました。痛みが心配でしたが、その心配はないことなど、質問に丁寧に答えて下さって、安心して送り出せました。とても難しい手術だったそうですが、「退院する頃には元気になって帰れますよ」という先生のお言葉どおり、元気で、傷もきれいで本当にうれしかったです。
その後の経過も良く、耳の心配はなくなり、毎日元気にしてくれていて、こちらの病院でみてもらって本当によかったと思います。

Dr.からのコメント

ダックスフンドのココアちゃん。ココアちゃんの右耳は深刻な状態ではあったのですが、内視鏡による処置で「全耳道切除手術」を回避することができました。しかしながら、左耳は初診時既に鼓膜は消失、中耳の壁は癒着、外耳道には大きな陥没部位(専門的には、「上皮嚢」と呼びます)がありました。

私は、侵襲性があり(手術の時、患者に負担が大きい)完全な「聾」になる「全耳道切除手術」は、できるだけ回避できるよう、飼い主さんに提案させていただいています。「回避」のためには、内視鏡による様々な処置やポリペクトミーと呼ばれる部分切除手術、また動物の医療界になかった新しい「耳道内手術」などを駆使します。これまで100%全耳道切除手術が必要とされていた「上皮嚢」ができてしまっていたケースも、「耳道内手術」で治ることが増えてきたのです。

しかしながら、ココアちゃんのように中耳に回復が難しいほどの癒着がみられたり、MRIなどで内耳や脳への影響が避けられないことが判明した場合には、全耳道切除手術をお勧めします。本当に全耳道切除手術が必要な場合、手術をしますとココアちゃんのように、今後脳や内耳への影響を心配することもなく、手術後とっても気分が良くなることが多いからです。それでも、それでも,私は全耳道切除手術は回避できるように、新しい治療法で対処したいと願っています。

では、飼い主さんが愛犬を全耳道切除手術回避のために出来ることはあるでしょうか?
それは「早くお連れいただくこと」なんですね。

 

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