アメリカン・コッカースパニエルの慢性耳炎 ロク君 オス 2才

2018.12.04

ロクちゃん初診時の右耳

ロクちゃん治療してからの右耳

Q1.耳科専門クリニックで診察を受ける前は、どのような状況でしたか?

◯生後1年頃から耳のかゆみ、炎症、耳ダレがみられ、地元の病院に通院。洗浄剤による治療。

→1ヶ月に一度通院するも改善せず、悪化していく。ふだんも身体を横にしている時間が多くなり、元気がなくなり、うつ気味な表情へと変わっていく。耳から膿のような臭いがきつくなり、家の中に異臭が充満するようになる。

◯たまりかねて、別の動物クリニックで診察をしてもらう。3回の通院、治療。

→経過観察の結果、「当医院では改善する見込みは望めないので、耳専門のクリニックで診てもらった方が良いです」そこで「クリニック主の枝」を紹介、仲介していただく。

当時の耳の状態は、耳の穴が塞がって、膿でグチョグチョへとさらに悪化。

Q2. 実際に耳科専門クリニックで治療をお受けになってからはいかがでしたか?

主の枝さんを紹介していただいて、正に助けを求める気持ちで診察に向かう。

耳の状態を診て(内視・洗浄)、先生の開口一番「例えば10医院に行ったら、10医院とも耳道を全て切除する手術が必要と診断されるでしょう。」と告げられ、ショックでしたが、「当院で洗浄治療とお宅で耳に投薬してもらい、手術が要らないように治療してみましょう。」と言っていただきました。

初回治療して帰宅後、ずっと横になって暗い表情をしていたのが、部屋中を活発に歩き回って、食欲も出てきて、みるみる以前の明るさに戻った。

また、先生のアドバイスで「バイオフィルム下での培養検査と感受性検査」を受けました。すると、2種類の菌が見つかり、菌に合った投薬で、次回の検査で菌は無くなっていました。体に負担の無い治療を選びましたが、今後根気の要る治療です。先生とスタッフの方々とひとつひとつ治していきたく思います。

Dr.からのコメント

アメリカン・コッカースパニエルのロクちゃん。最初に拝見した時、両方の耳道が全く塞がり、中は膿で充満していました。ここまで悪くなると、耳道周囲が炎症のためにさらに腫脹し耳道の空間がなくなるだけでなく、菌が耳道奥深いところで増殖し、場合によっては髄膜炎など「突然死」をもたらします。患者であるワンちゃんは、「頭が痛い」「めまいがする」「憂鬱だ」と表現してくれませんが、以前のような表情ではなく、活発さも失われ、ロクちゃんのように「うつ気味」であったり、寝てばかりになることもあります。

幸いロクちゃんの場合、主治医の先生に勧めていただいて当院で診れましたが、あの状態がまだ続いていたなら、大変なことになっていたでしょう。

今ではロクちゃんの耳道は、健康時なみに回復し、表情も明るくなったようです。ただし、耳道本来にある自浄作用(Migration・マイグレーション)の機能が失われたままですから、ご自宅での点耳、というケアが大切になります。

 

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