ヒトの耳科医学に比べ、あらゆる面ではるかに発展途上にある獣医耳科に特化し、1例1例をていねいに診療することにより、診療レベルを確実に向上させ、患者であるどうぶつたち、飼い主様、そしてかかりつけの先生方、さらには獣医学に寄与することを願っています。
どうぶつ耳科専門ですので、下記を除き、一般診療や予防医療は提供いたしません。
私共は、かかりつけの先生の総合治療の一環でありたいと考えています。
1)耳科は、皮膚科と関連することがよくあります。ですから、耳以外に皮膚病変はないか、痒みはないか、そして必要により諸検査を実施します。
2)かかりつけの先生の合意があれば、必要により皮膚科治療、食事療法、減感作療法、内分泌疾患の治療を実施します。しかしながら、しつこい慢性疾患であったり、追跡検査及び治療が必要であると、数回までの初期治療で通院を区切り、後はかかりつけの先生に診ていただくことを目標としています。
3)麻酔管理のため、身体一般検査、血液(含:血液化学検査)、尿(含:尿沈渣)、心電図、胸部X線検査などを実施します。
下記の動画のように、徹底した治療ができます。
外耳炎は、早期に適切な治療を受けないと、外耳道の管腔が、過形成、皮脂腺の乳頭化、さらには外耳道壁の石灰化、骨化などにより、不可逆的に狭小化していくことがあります。
こうなると患者にとって、常時深刻な憂鬱であり、不快であり、痛みを伴うことになります。これから解放してあげるには、全耳道切除など、外科的手術が必要になってしまいます。
外耳道が狭窄気味であれば、できるだけ悪化を防ぐために、なるべく早い段階で、全身麻酔下での硬性鏡による徹底治療と適切な薬剤使用が勧められます。
犬では、ヒトと異なり、外耳炎から中耳炎、さらには内耳炎へと波及していくことが起こりうるのですが、キャバリアはヒトの中耳炎の病態に似て、鼻咽頭、耳管から中耳炎になりやすく、写真のような白い膿性の分泌物が鼓室に貯まります。そのため、硬性鏡でしっかりと鼓膜の観察を実施し、必要によっては鼓膜切開と鼓室洗浄を実施しなければなりません。
病因として、耳管の機能不全が考えられているだけに、キャバリアに限らず、特に短頭種の耳炎は要注意と云えるでしょう。
長年の経験上、猫の中耳炎は犬に比べて治りにくいという印象があります。
一つの理由として、猫の鼓室は中隔により2層に分かれているため、鼓室全体を徹底して洗浄できないからかと思われます。
そのため、外耳炎の段階で、早めに完治させないと、生涯中耳炎を患うことになりかねません。早めに本格的な治療を始めても、犬に比べ悪化しやすいと考えます。
また、「炎症性ポリープ」という、非腫瘍性の腫瘤が潜んでいることも珍しくありません。
やはり、早期の全身麻酔下の硬性鏡によるケアが勧められます。
上記②のように、全身麻酔下での徹底治療が間に合わないケースでは、全耳道切除がほとんどの場合、必要になります。
予約済みでお待ちいただくことが多いですが、少しでも早めの手術依頼を承ります。時に、頻回にわたる耳道の徹底洗浄やグルココルチコイドまたは免疫抑制剤により、狭窄の緩和が可能なこともあります。
手術が適応の場合、事前に培養検査など、諸検査を実施します。
また、外耳道や中耳における種々の腫瘍摘出術も承ります。
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