【名古屋】手術を回避できそうなコッカー(さらちゃん)

2022.04.04

Q1.耳科専門クリニックで診察を受ける前は、どのような状況でしたか?

2020年秋頃(2才2ヶ月)より右耳を痒がり、地元の病院を受診。
耳を綺麗にしてもらい塗り薬で経過観察。
2021年正月に耳の中の腫れと膿がひどいのに驚いて再度受診。
抗生物質と点耳薬を受診してもらう。
2月になっても改善しないので手術を勧められましたが、耳が聞こえなくなるとの事で断り、耳介を広げるだけの右耳介切開術をしました。
しかしその後も膿は出続け、3月には左耳も腫れと膿がひどくなり、手術を勧められました。
右耳も症状が改善されず、左耳もということにとても心配になり、インターネットで外耳炎について調べたら主の枝クリニックにたどりつきました。
オトスコープの事も初めて知り、遠方ということもあって手術を勧められた病院にオトスコープはできないか相談したら、耳の中の腫れがひどいのできっとカメラは入らないと思いますと。
悩みましたが手術を受ける気にはならず、さらに食欲もなくなり7.5㎏の体重が6.4㎏まで減り、元気なく一日寝てばかりいるようになって、主の枝クリニックのHPから相談させて頂きました。

 

Q2. 実際に耳科専門クリニックで治療をお受けになってからはいかがでしたか?

2021年5月下旬初診。両耳、腫れと膿がひどく血液検査の結果も悪くとてもショックでした。
オトスコープで洗浄して頂けて、スッキリしたのか翌日からアレルギー用のフードを食べるようになりました。耳をさわると痛がっていたのが和らぎ、少しずつですが固いフードを噛めるようになってきました。
7月からは朝と夜に毎日耳のケアが始まりました。有難いことに耳の洗浄や消毒のケアを嫌がらずに受けてくれましたが、腫れと膿で液がなかなか浸透せず時間がとてもかかりました。
ただ、洗浄が気持ち良いのかケアが終わるとしっかりフードを食べるようになりました。秋頃には顎も丈夫になり、固いフードをくだかなくても食べられるようになり、体重も戻ってきました。

11月には腫れも膿もほぼなくなり、とても嬉しかったです。真珠腫があるのが心配ですが先生にしっかり説明をして頂いたので、日々のケアも意識しながら行っています。腫れがひいたので、ケアの時間はとても短くなりましたが、さらもスキンシップの時間だと思っているのか気に入っている感じがします。
現在はとても元気でやんちゃでまるで別の犬のようです。治療を受けて本当に良かったです。先生ありがとうございます!

 

Dr.からのコメント

あらゆる犬種の中で、「全耳道切除手術」(酷くなった耳道をすべて摘出する手術、ですから聾になってしまいます)を最も受けているのは、圧倒的にコッカースパニエルでしょう。実際、私もかつてはこの手術をコッカーのワンちゃんに頻回に実施していました。
しかしながら、ここ7年ほどは、脳や内耳への影響が見逃せない本当に深刻な症例だけこの手術が必要で、一般に100%手術が必要と言われるワンちゃん(コッカーに限らず)の90%以上、手術を回避できるようになっています。

今回ご紹介するアメリカンコッカースパニエルのさらちゃんは、そんな私も手術を検討しなくてはいけないぐらいかなり深刻な患者さんでした。外耳道は完全に閉塞していましたし、なんと真珠腫(中耳に皮膚組織が増殖して、周囲の骨まで溶かしていく病気)も併発していたからです。
それでも手術を回避できる可能性が高くなってきたのは、驚くほどさらちゃんが従順に「点耳」を受け入れているからです。 ぜひ、お利口に点耳を受けているさらちゃんの様子を動画でご覧下さいね。

耳の入り口を軽く揉んでいるのは、液体の薬さえ奥へ入りにくいほど耳道が狭かったからです。この頃では耳道が回復しつつあり、薬も入りやすくなっています。 こうなると、真珠腫もコントロールしやすくなります。

以前、固いフードを噛めなかったのは、中耳のまわりで炎症が酷かったからですが、今は耳の痛み、かゆみもほとんど無くなり、サラちゃん本来の元気が回復、やんちゃにまでなってきたようです。 また耳科専門医冥利につきますね。

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